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ビジョンが見えた瞬間

学生時代の私は、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』に感銘を受け、「社会的に意義のあることを仕事にしたい」と、人生をささげる何かを求める日々を悶々と過ごしていました。海外留学をはじめ、さまざまなアルバイトや経営に関する勉強に没頭。大学卒業後は、大手通販会社で仕事に打ち込みながらも、自分が本当にやるべきことを探し続けていました。そんな折、子育て中の従妹との何気ない会話の中で、子どもを預ける保育園がないという「待機児童問題」を知りました。私が26歳の当時は、まだ社会問題として捉えられていませんでしたが、保育園で過ごした幼少期の良き思い出のある私にとって、大変衝撃的なことでした。これをきっかけに、この問題に対して自分ができることはないかと考え始め、仕事の傍らで、保育の学校に通い、多くの保育園へ見学に行きました。そして、保育の多様な実情に触れる中で、私が探していた「社会的意義」と、目の前で起きていることが強く結びついたのです。「子どもたちの笑顔のための保育園を作ろう」と、今の元気キッズのビジョンが見えた瞬間でした。準備を開始してから1年後の2004年9月。「怒らない叱らない、子どもたちに伝えていく保育」をモットーに、子ども主体の保育を目指し、「保育園元気キッズ 志木園」を設立。ここから元気キッズがスタートしました。

児童発達支援事業所を開設

「保護者の笑顔が子どもたちの笑顔につながる」「先生たちの笑顔が子どもたちの笑顔につながる」という考えのもと 、より良い保育環境を目指し、施設を増やしていきました。施設が増えれば、出会う子どもたちの数も増えていきます。その中で、発達に課題がある子どもたちにも多く出会いました。当時の私たちは、 そのような子どもたちや保護者の気持ちに寄り添う知識も経験もなく、保育に関わるものとして無責任な態度をとっていたように思います。そして、様々な悩みを抱える保護者の方々と対話を重ねる中で、現状に疑問を感じ、より多くの子どもたちの笑顔のために、児童発達支援事業所を立ち上げるに至りました。責任を持って支援ができる場をスタートしたのです。子どもだけでなく、保護者にも笑顔になってもらいたい。そのような思いから、当時は母子が共に通所する療育施設しかなかった中で、完全母子分離の施設を設立。子どもの発達と24時間向き合うことを求められてきた保護者に、時間的にも精神的にもゆとりを持ってほしいと考えたからです。家庭こそが発達の基本。私たちは、そのサポートをする立場として、保護者に寄り添い、子どもたちが安心して過ごすことができる、ゆとりのある環境を作ることを目指してきました。また、元気キッズの療育施設から、保育園や幼稚園へ通えるようになった子どもたちも、課題がぶり返してしまうことがあります。そのような子どもたちにも、いつでもどこでも笑顔になってもらいたい、できる限りの支援をしたいということで、保育所等訪問支援をはじめ、元気キッズの職員が現場に出向いてサポートを行う活動を事業化してきました。

インクルーシブ保育のリーディングカンパニーを目指して

元気キッズが運営する認可保育園、小規模保育園の中には、発達に課題がある子どもが、定型発達の子どもたちと一緒に過ごしている施設があります。当たり前のように発達に凹凸がある子どもたちがそばにいいて、共に過ごすことは、定型発達の子どもたちにとっても良い影響があります。お互いを認め、自然と手を取り合い、優しさが生まれ広がっていく。そして、その優しさが満ちた場所を作るためには、先生たちの存在が不可欠です。個性を認め、寄り添い、温かく広い心でうけとめる、「大丈夫だよ」という温もりのある雰囲気によって、子どもたちがまとまっていくのです。この時代においても、インクルーシブな保育環境づくりは、なかなか進まないのが現状です。おそらく、前例も少なく、方法がわからないということがあると感じています。もちろん、私たちもまだまだ成長段階です。試行錯誤をしながら、インクルーシブな保育環境を率先して作るという挑戦を続けることが、地域のみならず、ひいては日本全体にまで、インクルーシブな保育環境を広げるきっかけになると信じています。

子どもたちの成長を見守り続けて

先日、最初の元気キッズに通園していた児童のお母さんから、「息子が甲子園のグランドに立ちました。学歴の一番初めが元気キッズなのでぜひお知らせしたくて」とご連絡をいただきました。お知らせの内容もさることながら、ご連絡をいただいたこと自体も、本当に嬉しいく感激しました。ニュースで彼の成長した姿を見た時の感動は、今でも鮮明に覚えています。あのヤンチャで甘えん坊で、でもどこか凛とした雰囲気のあった当時の面影を残しつつ、立派に成長した青年が甲子園という晴れ舞台に立っていました。私たちがすべきことは、20年後の子どもたちの姿、世界を想像し、今の笑顔を支えることです。すべての元気を受け止め、子どもたちの豊かな未来に向けて今できることに、これからも真摯に向き合ってまいります。地域の皆さまと共に、子育ての“困った”が感じられなくなる社会を実現することができれば幸いです。

元気キッズグループ 代表取締役

中村敏也

1977年7月埼玉県生まれ。朝霞三中、川越高校、明治大学経営学部卒業後、大手通販会社へ就職。その後従兄に子どもが産まれ、保育園に入りたくても入れないという待機児童問題に驚き、保育学、児童発達支援を学ぶ。2004年9月、埼玉県志木市にて「保育園元気キッズ 志木園」を開園。以後地域のニーズに対応しながら小規模保育所、認可保育所、児童発達支援事業所、保育所等訪問支援事業所を開設。新座市子ども子育て会議委員。日本教育新聞、埼玉新聞、ココキャリnoteなど多数のメディアで保育士の離職の低さが取り上げられる。教育情報メディア リセマム(Resemom)にコラム「発達障害」全6回を寄稿など、障がいを抱える子ども達の支援にも注力している。

書籍 出版

保育園運営の教科書~保育・療育で地域オンリー1になる 中村敏也 (著)
発達が気になる子どもへの関わり方を教えてください! ~発達障がい、グレーゾーン 中村敏也 (著)

講演・セミナー

保育や子育て、働き方、起業など、さまざまなテーマの講演、セミナーを行っています。

メディア掲載
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